simple things of simple days

気ままな言葉ばかりです。

Alina Zhdanova ジダーノワ アリーナ
映像作家 / グラフィックデザイナー

Monochrome Design
Alina Zhdanova - ARTIST


ポスト・インターネットの10年後

2018年の今現在、インターネットは日常の中にあり、生活を支えるものであり、更に一番使われているコミュケーションのツールである。

アートの世界では、2008年にマリサ・オルソンが「ポスト・インターネット」という言葉をインタビューで良い、それはその時代のアートを語っていた。しかし私も含めて90年代以降に産まれた者たちにとって、今ではもう理解し難いものだ。

「インターネットの前と後」というのは我々が産まれてくる前のことで、残念ながらそれは過去である。幼少期から義務教育の中にPC授業があり、ネットリテラシーを学んできた。何かを調べたいときには検索エンジンがあり、わからないことはほとんどキーボードをたたくことで解決できた。

自分の携帯が手に入ると、携帯からHTMLを打ち込み、ホームページを作ったり、SNSを介してネット上のコミニュケーションが若者の心を掴んだ。様々なソフトが生みだされ、UIが改善し、より簡易化されて流行の中に入ってきた。

 「オンラインとオフラインの区別」は、携帯電話やスマホの普及により、そもそも考えられることもなくなった。

  

ポスト・インターネットという言葉が出てきてから10年、今の時代を語る言葉は何だろうか。

インターネットの進化とは、つまりはPCの発達である。機能が拡大され、ハード面ではどんどん縮小し、持ち運ぶことが前提とされるものとなった。それはスマホや腕時計などに形を変えていきながら、環境に馴染んでいきながら、日常はどんどんインターネット化されている。つまりインターネットはディスプレイを介してではなく、今では様々なところに存在している。

 

ポスト・インターネット・アートに代表されるのは、ひとつめにディスプレイを使う作品であること、ふたつめにSNSを使った作品であること、が挙げられる。そういった素材を使うことで、その時代の状況を映し出した作品が多くある。

インターネット上でアート作品を鑑賞することも可能になっているし、アーティストでない人々もネットを介して作品を発表したりする人も増えている、これによってアートがより近くなり日常の中に入りやすくなっていて、関わりが増えてきたように思う。

 

インターネットには限度がある。実際に目で見る風景というのは、光の反射で色を識別し物を捉えている。ディスプレイは光である。光の信号が組み合わさって、実際に見ている色に近くしつつも、自らが発する光なので、現実とインターネットの中では、絶対的に色が変わってしまう。そして何より、インターネットはデータを画面上に送るための時間が必要である。スピードをあげるためには画像などのデータ容量を小さくしなければならない。組み合わさってできたものは縮小され再現された仮想現実として目の前の画面に表れている。

 

現在、インターネットとともにAI技術が発展していっている。人間がインターネットを使っている時代から、人間が機会と交わる時代に変わっていっている。

声で呼びかけ、返事をくれる。喋りかけたら自動で翻訳してくれる。人を感知してスイッチのオン・オフをする。指先だけでなく、人が機械に対してパフォーマンスを行うことで人間と機械のコミュニケーションが発達する。より自然に、よりコミュニケーションを取りやすくするために、AIは今、恐ろしいくらいの成長と発展で、日々驚かせてくれる。

 

アートの世界でも、「ポスト・インターネット」から抜け出しつつある今、改めて現在に視点をおき、それを体験とするのであれば、メディアに関わらず、より対話的に、パーソナルに、パフォーマティブな世界が作り出されていくのではないだろうか。