simple things of simple days

気ままな言葉ばかりです。

Alina Zhdanova ジダーノワ アリーナ
映像作家 / グラフィックデザイナー

Monochrome Design
Alina Zhdanova - ARTIST


業界初心者向け、TVCMの納品方法

少し前のお話しですが、

フリーランスとして、はじめてのTVCM案件をいただきました。

 

大学を卒業すると同時にフリーランスになりましたが、

始めてまだ2年半しかたっていないのに

まさかTVに関わることになるとは思いませんでした。

 

業界なんて全く知らない。放送基準なんて全く知らない。

本当に知らない。

そのあたりの知識は無です。

 

そんな私が四苦八苦しながらなんとか無事に納品できたので、 

自分用のために、また新しい初心者のために

ここに今回の経験をまとめた「TVCM納品方法」を

メモも兼ねて残そうと思います。

 

 人に聞いた知識、ネットで調べまくった知識、

それぞれ無知なりに頑張って情報を集めました。

 

業界に対して初心者すぎてすみません、としか言えないです。

精進します。

 

 

 

 

さてはじめましょう。要注意!今回の文章、いです。文字数でいうと約6000字。)

 

  

まず、

テレビ局によって納品形式が違うので

納品先のテレビ局にきちんと確認する。

そこからか〜い!というツッコミは謹んでお受けいたします。そこからです。

 

 

今回私が納品したのは、日本テレビ系列の「テレビ金沢」という局でした。

なので今回の記事は納品した局の納品方法を書いておりますので、

他のテレビ局に納品する方はちゃんと確認してくださいね!!!!

 

 

クライアントさんがテレビ局の方とスムーズにやりとりが出来る方だったので

そちらにお願いし、納品形式を聞いて頂きました。

 

日本テレビの納品方法と一緒で大丈夫です」とのこと。

 

さて次は日本テレビの納品方法を調べなくてはいけません。

しかし、さすがは日本テレビ。納品方法がしっかりネットに掲載されています。

搬入から放送終了まで | テレビCM実践編 | 日テレ 広告ガイド

 

神。

ありがとうございます、ありがとうございます。

 

 

 

さてさて、

必要そうな情報がたくさん載っていそうなので漏らすことなく隅々まで読みます。

 

まず必要な情報として、どの媒体にて納品するのか。

CM素材は(2011年7月1日~)
・HD素材 ⇒ HDCAM、HDCAM-SR、HD-D5
・HD素材(ファイルベースメディア) ⇒ XDCAM 、GFPAK、P2

にて、お預かりしています。 
※必ず1CMにつき1本を搬入。

 と書かれている通り、自分ではできなさそうな匂いがプンプンします。

 

 

この中で聞いたことある感じの、どこでもやってもらえそうな選択肢といえば

 HDCAM

これのみ。(私が知っているのが)

というわけでこの媒体に決定です。

 

 

 

上記のサイトはタブに残したまま、新しいタブにて検索を。

データ変換業者探しが必要です。

よほどの人でない限り、個人でデータをHDCAMにコピーすることはできません。

機材がありませんから。

HDCAMって、

つまりは高画質ビデオのことですよ。

ビデオテープのことですよ。

みなさん記憶にありますか。

 

 

業者探しにはとてもとても時間がかかりました。

そもそも知識がないからどの会社が良いのかよくわからなかったのですが、 

フリーランス仲間に紹介していただき、価格も頼みやすかったことで

↓この会社に決定しました。(大阪の会社なので近畿圏の方、オススメです)

映像制作のプロフェッショナルに向けて TOC大阪|デジタイズワーク・データ変換

 

さっそくお電話にて問い合わせ。

「全然知識がないのですが、お助け願えないでしょうか・・・」 

これ大事です。

業界用語知らないですから。すみません。

簡単な見積もりとHDCAM変換用のデータ形式のことを教えていただけました。

 

 

変換用に必要なデータとして、

WindowsMacで違うらしく、私はMacユーザーなので

MOVデータのApple ProRess 422

という書き出し設定がいいとのこと。

 

Premiere proの書き出し設定を見たところ、

Quicktime形式のコーデックの中に、

Apple ProRess 422、Apple ProRess 422 (HQ)、Apple ProRess 422(LQ)

の種類が出てきました。

試しに書き出しをしてみた結果、

Apple ProRess 422(HQ)

こちらが一番きれいでした。よし。

 

 

 

さて、納品媒体はクリア!

というわけで他の項目をみてみましょう。

 

【HD素材】
標準アスペクト比 16:9にてお願いします。
デジタル記録方式 1080 i にてお願いします。
音声レベル 最高0VUにてお願いします。
音声記録方式 ●「ステレオ」の場合 「ch1・2」 にステレオ音声を入れてください。
●「モノラル」の場合 「ch1・2」 に同じモノラル音声を入れてください。
●「5.1ch」の場合 「ch1~6」 に「5.1ch音声」を入れてください。 
「ch7・8」 にステレオ音声を入れてください。

※ デュアルバイリンガル、ドルビー素材などは対応しておりません。

 

標準アスペクト比が16:9、デジタル記録方式が1080i、 

このへんは私の知識があるのでOK!

ちなみにiはインターレースのこと。コレ大事です。

 

音声記録方式については

ステレオ / モノラル / 5.1サラウンド

自分がどの設定にしてるのかきちんと把握していれば、

あとは業者の方がやってくれます。基本ステレオかモノラルなのかしら?

 

 

さて次に私の知らなかった知識が入ってきます。

音声レベルについて。

 

「最高0VUにてお願いします。」とは何なんでしょうね。わかりません。

音割れしないように、ということでしょうか?

とりあえずそこはスルーして私は問題ありませんでしたが、

一点だけスルーできない所があります。

 

2012年10月以降、音声について新基準が適用されました。

と書かれています。ここです。

というわけでリンクが貼られている民放連盟をみてみるけどよくわからん。

サイトの文字多くて嫌です。

 

先に載せたTOC大阪の担当の方に教えていただいたのですが、

放映基準にあわせて音量を調整しないといけない、とのこと。

 

その名も、ラウドネス処理。何やそれーーーーー)

 

こちらまた、神がかったサイトを発見しました。一発解決です。

Adobe Auditionをお持ちの方、必見です。

tv.adobe.com

こういうの載せてくれる方、本当に、ありがとうございます、ありがとうございます。 

 

TOC大阪の担当の方曰く、ラウドネスは放送基準で

-24LUFSに決まっているとのこと。

私も動画にならってAudition使ってやってみた結果、簡単にできました!

 

が、実はデータをHDCAMに変換する時にミスが発覚。

注意が必要でした。今後の教訓です。

ラウドネス許容値は0にすべし。

 

せっかく-24LUFS設定して書き出したのに

許容値がデフォルトで2の数字が入っていて、

そのまま書き出すと微妙に上回ってしまうのです。

 

修正で追加料金(ちょっとだけですが)とられてしまいました。無念。

 

 

 

 

さて、日テレ広告ガイドに戻り、

2ページ目に進んでいきますと

 

CM素材は、放送事故を防ぐためにも以下のフォーマットでの搬入をお願いします。

基準映像(カラーバー) 画質調整を行いますので必ず入れてください。
基準音声(1KHz) 音声調整を行いますので必ず入れてください。
クレジット  別ページご参照下さい。 
本編内前後15フレ 前後15フレームはノンモン(無音声)にてお願いします。

 

f:id:zhda:20170824164036p:plain

 

動画のタイムラインに必要なもの、秒数が載っています。

 

この時注意しないといけないのが、動画の設定を

ドロップフレームにすることです。

知らなかった。

いや知ってたんだけど、なんか間違えた。

 

ドロップフレームとノンドロップフレームの違いは各自ググっていただいて、

TVではドロップフレームを使います!

それだけわかってればよし。

 

 

ただね、Premiereさんの画面でね、

ドロップフレームにすると01:00:00が表示されないんです。

00:59:29のあとには01:02:00になるんですよ。

 

なーーーーーんーーーーーでーーーーーーーーー

 

となって、ノンドロップフレームの形式にしたのですが、

変換業者さんに「これ違いますね」と言われました。悲しいです。

結局どうしたらいいかわからん。

 

結局15秒のCMだから今回はまあOK、ということになりました。

本当すみません・・・。

 

 

 

さてさてタイムラインに戻ります。

まず本編はじめる前。

 カラーバー+1kHzの音声を45秒、クレジット12秒、ファーストカット3秒→本編

 という流れです。

 

 

 

 

恥ずかしながら、わたし、

今までカラーバーを入れたことがなかったのです。

 

カラーバーってこういうのですよね。

 

f:id:zhda:20170824174317p:plain

 

 

それにピーーーっという音がつきますよね。

 

どうやって入れるのか知らなかったんです・・・。

大学でいろんな技術は学んだけど、なんでこれは教えてくれなかったんだろう?

と不思議に思います。

 

 

 

 

 

でも、これの入れ方!!!!!!!超簡単でした!!!!!!!

 

 

参考として、Premiereでの入れ方。

ファイル▷新規▷カラーバー&トーン

というやつで、1kHzの音も一緒に出てきます。わーい!!!

 

ただ、今回何かを間違えてしまったようで、データ変換を頼んだ

TOC大阪の担当の方にまた「違いますね」と言われてしまったので修正していただきました・・・。

切羽詰まっていて何を間違えたのか、結局わからなかったので次間違えたときにはちゃんと聞きます。

 

 

 

 

さあさあ、進みます。

タイムライン上で、カラーバーのあとにはクレジットがきます。

ひとつひとつ見ていきましょう。

3ページ目にクレジットの詳細が書いてあります。

 

f:id:zhda:20170824185605p:plain

・素材広告主名

・CM素材名

・10桁CMコード

・秒数

・音声種別

 

 

うむ。一つずつ戦っていきましょう。

 

・素材広告主名

「株式会社○○」とかですね。CMを出す会社の名前が多いです。

 

 

・CM素材名

妙なルールがあります。

<CM素材名>新搬入基準で従来と規定が変わっています! 
全角30文字以内で、商品名および素材内容によってネーミングされたCMのタイトル。詳しくは「搬入基準」末尾の日本広告業協会「CM素材名ネーミングガイドラインを参照下さい。

 とのこと。Macユーザーは要注意!!!!!

英数字も全角です。謎。 

そもそも全角英字の存在が謎。

 

 

・10桁CMコード

こちらは1ページ目に詳細がしっかり書いてあります。

コード取得はこちらに詳細が。→ 共通コード管理センター

 

 

ここまでの3つの項目(素材広告主名、CM素材名、10桁CMコード)は 

クライアントさんにお願いして、

コードを取得していただいたりCM素材名を決めていただいたりしました。

 

 

・秒数

こちらは本編の長さです。

今回15秒CMだったので15秒と記載しました。

 

・音声種別

ステレオ、モノラル、5.1サラウンド

のどれか。

 

 

クレジットに関しての注意は、コード取得に時間がかかったりしますので、

制作前にクライアントさんと

きちんとやり取りをしておくこと!

これが大事です!!!!

 

そして、タイムラインだけでなく

データ変換完了したあとのテープに本体にシールで貼る、

テープのケースにも記載することが必要ですので、

変換のあとに制作する時間と

プリントする時間をとっておくことをオススメします。

 

 

 

 

さてさてクレジットが解決したところで、

2ページ目のタイムラインについてのページに戻ります。

 

 

クレジットのあとには「ファーストカット」と呼ばれるものをいれます。

この存在知らなかったです。

 

本編の最初の1フレームを3秒ぶん挿入します。

 

 

 

さて!ついに本編です!!!

 

注意しなければならないのが、

本編中の前後15フレームぶんは

完全に無音にします!

 

そして音声は先述したラウドネス処理を忘れないようにしましょう。

 

 

 

そして本編が終わったら「ラストカット」と呼ばれるものを入れます。

ファーストカットと一緒で、

最後の1フレームぶんを3秒挿入します。

 

 

ちなみに私はドロップフレームでやってたのですが

2フレームのずれが生じてしまい、

またまた担当の方から言われてしまいました。

 

「ここ、ずれてますね」 すいません・・・本当、すいません・・・。

 

 

ひとまず、これでこちらの準備はおしまい・・・!

ここまで把握できたら、あとは本編を作るだけ・・・

ではありませんでした。  

 

業者さんにお伺いした時にわかったこと。

・HDCAMを買ってくるか、その場で買うのであれば電話で確認しておくこと。

(私はてっきり貰えると思ってたけどそうではなかったので聞いとけばよかった)

 

・レコーディングシートを用意すること

存在すら知らなくて、業者さんに作ってますかと言われました。

「なんですかそれ」と答えました。

HDCAMに読み込ませたデータ内容を記載した紙、といえばいいのでしょうか。

何秒に何があるかという説明のようなタイム表のようなものでした。

以下、参考サイトです。

http://www.ayatoweb.com/tv_design/tvd22.html

 

時間も知識もなかったのですが、今回は業者の方に作ってもらうことができました。

(本っっっっ当に助かりました。ありがとうございます、ありがとうございます。)

次回の課題としてはちゃんと作れるようになることですね。

 

 

 

また当然ながら納品から放映まで時間がかかります。

クライアントの放映したい時期を把握して

納期のスケジュールを確認しあいことが大事!

 

わたしは今回納品に関してあまり考えておらず、

クライアントさんと確認しあうことを忘れ、最後にかなり焦りました。

 

おおまかな流れは以下の通り。

①企画制作

②絵コンテ制作 

③ビデオコンテ制作→TV局チェック(倫理上問題がないか、というもの)

④制作

⑤データ完成

⑥データ→HDCAM変換作業(ミス連発すれば半日はかかるかと)

⑦郵送

−−−−ここまでが制作側のお仕事!−−−−

⑧TV局到着後、TV局チェック

⑨TV局変換作業、などなど

 

テレビ局にもよりますが、TV局に到着後、約一週間くらいで放映可能になるようです。

なのでクライアントとしっかり確認をとりあい、

納品日を逆算して制作をすすめないといけません!

 

 

郵送方法は、郵便局にどうしたらいいですかね、と相談したところ

レターパックプラスが安くて送りやすいのでは、とのこと!

ケースに入っているビデオを更にプチプチで包み、

隙間には新聞紙をくしゃくしゃにして詰めて、守ってポストイン!!!!

 

地域によりますが京都→金沢の道のりでは午後発送、翌日午前に届きました。 

 

先方からも「届きました」の一報。

なんとか・・・やりきりました!!!!!

 

 

そんなこんなで作ったCMは、以下。

 

vimeo.com

 

 

今回はスケジュールの連絡ミスがあり、えっ

明日送らないといけないの・・・!?

という状況に陥り、2日間大阪と京都をかけめぐりました。

 

無事に終われたことを嬉しく思います。

 次の日はしっかりとお休みにしましたよ!フフ!


 

以上、6066文字、 論文かというくらいの記事、

読んでいただきありがとうございました・・・!(長すぎるわ)