「数学する身体」
を読みました。面白かったです。
普段読むのが激遅な私でも読みやすくて一日で読了しました。
一言で言うなれば、ロマンチックなラブレターのような本。
宛先は、数学へか、それとも作中で紹介されている岡潔さんへか。
上のリンクをみてびっくりしたのは、著者が当時30歳のとき書かれていたという事実。
文章がうますぎるからもっと年配の方かと思ってた・・・!
内容も濃くて面白くて、数学にほぼ縁のない、というか逃げてきた私のような人間にも、わくわくさせてくれるような内容で、すごくパワフルでした。
そして、数学への愛にあふれていました。
他の分野の人でもその世界に入り込めるような内容で、メモしたくなる点がたくさん。なによりも、著者の書き方が良い。
すごくロマンチックな言い回しで語り尽くし、読者の心を鷲掴みにしてくれます。
(※ラブストーリーとかじゃなく、数学の本です。)
読み進めるうちに、これは片思いのラブストーリーだな!と気が付き、著者の数学に対する愛情を感じずにはいられない、そういった内容でした。
ただ残念なのが一点。
後半に出てるく岡潔さんについて掘り下げている部分では、おそらく著者のあまりの愛の強さに、こちらはついていけなくなってしまいました。
それまでの文章の中で構成されてきた、客観的で様々な視点から集めた数学という世界に対してのアプローチが、一気に主観(岡潔さんすごいヤバイぱねぇという感じ)に変わり、岡潔さんの言葉を多用しているのがいままでの著者の世界観を壊してしまって、一気に読みにくくなってしまいました。本当に、最後のちょっとだけ。
主題が数学から岡潔さんに移ってしまい、この本の本質がどこにあるのか、というのをあやふやにさせてしまったように思います。
まとめの章では元の形にもどり、主題も再提示され、また面白いと惹き込ませてくれるようになりましたので、そこで安心。
そんなのも含めて、愛のこもった素晴らしい本だと思います。
買っていただきありがとうございます。
簡単に書かれているものでもやっぱり難しいと思うことが多かったので、何度か読み直して少しずつ理解を深めていきたいですね。
最後に、この本の「はじめに」を読んで、私はすごく好きになりました。
一瞬にして世界に惹き込まれました。
ーーー人はみな、とうの昔に始まってしまった世界に、ある日突然生まれ落ちる。自分が果たして「はじまり」からどれほど離れた場所にいるのか、それを推し量ることすらできない。ーーー
ロマンチック♡